Hitz技報第80巻第1号

日立造船は、国土交通省が推進しているBIM/CIMに対して、製作支援に活用している「Symphony」から作成した橋梁CIMモデルと、レーザースキャナ計測等から得られた地形モデルとの合成で構築した3D仮想現場モデルを用いて、施工計画や管理を支援するシステム「Concerto」の開発を行った。
本システムは、施工の約8割を占めるクレーンベント工法に対して、ベントなどの仮設物の自動構築、クレーンの最適配置支援、施工中の部材間の動的干渉チェックや反力表示などが可能であるとともに、送り出しや一括架設等の特殊工法に対しても各種シミュレーションが可能である。これにより、従来の施工計画を効率化するとともに、施工時のトラブル防止および安全性向上が期待できる。

文責者
岡村敬
共同執筆者
松下裕明

日立造船は、水門設備の設計・製造を1924年から行っており、国内外の約600箇所に設置実績を有している。また、その保守についても長年携わっている。これらの経験から、水門設備の健全性などを判断して、効率的に保守を行う維持管理システムが不可欠と考えていた。そこで、これらを効率的に行うための水門設備の状態を把握できる維持管理システムの開発を継続してきた。このシステムにICT技術を導入、状態把握がリアルタイムに可能となるよう機能を追加してきた。本システムの活用事例として、現地にて収集したデータを用いた状態監視と解析事例を紹介する。今後は当社の先端情報技術センターとの連携により、顧客の多様なご要望に応えられる改善を鋭意、実施していきたいと考えている。

文責者
林健人
共同執筆者
深井康宏、杉本巌生、北村暁晴、宮本修、藤澤洋輔、宮本訓兄、宮澤健、山下遼、和田晃、岩室貴之、大橋正治

日立造船は、2014年からNEDO次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(バージ型)に取り組んでいる。その一環として、バージ型浮体の安定性と安全性を確認するために、縮尺1/50の浮体模型を用いて水槽実験を実施した。水槽実験において、実海域における50年確率波を想定した入射波条件下で浮体の安定性を検証した。また、係留索のうち1本の破断時や浮体内の区画への浸水時などの条件を設定して浮体の安全性を検証した。
実験の結果、全ての条件において、越波は発生したが浮体模型は転覆しなかった。このことから、本実験条件下においては、バージ型浮体の安定性と安全性が確認できたと考える。

文責者
田村大樹
共同執筆者
新里英幸、大窪慈生、三谷俊輔

日立造船は、グローバルな衛星測位システムGNSS(Global Navigation Satellite System)を用いた自動操舵付き農機ガイダンスシステム「SG100」を開発した。SG100は既存のトラクタに後付けする方式であり、低コストで熟練作業者並みの自動操舵が可能となる。SG100の自動操舵機能の特長は、2台のGNSSアンテナを用いて車両方位を算出することで、特に日本の作業環境で求められる低速時の直線保持走行を実現したことと、舵角センサの取付け誤差を補償する機能を有していることである。また、SG100では、トラクタと作業機の情報の相互利用によって効率的な農作業を実現するため、国際規格であるISO11783(ISOBUS)への対応を積極的に進めている。

文責者
笠原暢
共同執筆者
堀川成之、三宅寿英、森裕二

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